2017年7月29日土曜日

ミヤマシジミ移植手法講習会

絶滅危惧種を保全するためには,生息地で保全する生息域内保全と生息地の外で絶滅危惧種のDNAを確保しておくための生息域外保全の2つの方法がある.

ミヤマ株式会社の保護区は,環境教育と生息域外保全を進めていくためにミヤマシジミ研究会と共同で201678日に本社敷地内にコマツナギを植栽したもので,ミヤマシジミの保全活動をスタートとなった.
今回,実際にこのコマツナギ植栽区にミヤマシジミを移植させるために必要な技術をマスターすることを目的に,2017年7月28日にミヤマシジミ移植手法講習会を実施した.
コマツナギに網掛けをして成虫に産卵させる手法を説明
するミヤマシジミ研究会の岡村裕幹事
(ミヤマ株式会社の保護区)
網掛けしてメスをうまく放せて喜ぶ女性社員
講習した移植方法は,野外のコマツナギに網掛けをして産卵させる手法と室内でできる リシャール法による強制産卵手法である.講習会は,ミヤマ株式会社の保護区で網掛け産卵のセットをしてから,室内で中村寛志会長による講義「三峰川保護区の移植試験と飼育方法」があり,次いでリシャール法の実習があった.

リシャール法のセットを説明
1時間で10個の卵を産卵した.
リシャール法で産卵された
ミヤマシジミの卵
今回の講習会では,野外の網掛けは4メスで20卵(10,5,4,1個),またリシャール法では1個体で10個の卵が産卵された.この講習会を活かして,ミヤマ株式会社の保護区にミヤマシジミが飛び交う日をが楽しみです.
また今回は,ミヤマシジミ成虫を提供いただいた小諸の宮坂繁氏には大変お世話になりました.
(中村寛志)

2017年7月22日土曜日

伊那市ますみが丘平地林での昆虫の採集・観察会

市民の森林づくりを進めている「伊那市ますみが丘平地林」には、珍しい昆虫や植物が生息しています.
ミヤマシジミ研究会は伊那市と共催で,平成29年7月22日(土)に「昆虫の採集・観察会」を行いました.



最初に今日の観察会のテーマを解説

この観察会のテーマは,次の4つです.
1.いろいろな昆虫の名前をおぼえよう. 
2.絶滅が心配されているミヤマシジミを観察しよう. 
3.セミの抜け殻を探して名前を調べよう.
4.雑木林の昆虫を探そう.

ミヤマシジミを観察
ますみが丘のミヤマシジミ保護区












採集した昆虫の名前をみんなに発表
公園内を走り回ってチョウを追いかける子供たち
参加者は親子合わせて65名でした.絶滅危惧種のミヤマシジミや国蝶のオオムラサキを観察したり,雑木林で楽しく昆虫を採集しました.そして家族ごとに採集した昆虫の名前を調べて,みんなに発表しました.

イベントのチラシ
(中村寛志)

2017年7月4日火曜日

小谷村クロシジミ学習観察会

 クロシジミは環境省RDBや長野県RDBで絶滅危惧ⅠB類に指定されています.長野県で唯一の生息地となってしまった小谷村では,今年4月に絶滅に瀕しているクロシジミを村の天然記念物に指定しました.
クロシジミ♀ 小谷村(中村撮影)
それを機会に村では,この6月28日にクロシジミ学習観察会が開催され,私が講師として招かれクロシジミの生態と保全の必要性について話をしてきました.
 学習会の後,みんなでクロシジミを観察しました.今年は雪が多かったせいか発生が遅れていて,2個体しか見ることができませんでした.
 参加者はクロシジミの面白い生活史を知り,さらに始めて成虫を観察して大変感激していた様子でした.
クロシジミの天然記念物指定を知らせる小谷村のHP
http://www.vill.otari.nagano.jp/www/contents/1496195215075/index.html
クロシジミ♂ 小谷村(中村撮影)
観察会の様子









 村の人たちとともに小さな生息地に追い詰められたクロシジミを保全し,さらにその美しい自然環境を守っていきたいものです.
(中村寛志)

飯島町の林さんのミヤマシジミ保全活動

水田の土手に舞うミヤマシジミ
 飯島町の林幸男さんは,自分の水田の畔にコマツナギを植栽してわずかに生息していたミヤマシジミの保全活動を行っています.
2016年7月22日に確認したミヤマシジミ
飯島町にもミヤマシジミを守る会はありますが,林さんはご存じなかったので一昨年に直接,会長の私に問い合わせの連絡がありました.昨年出かけてみるとミヤマシジミの成虫が生息していることが確認されました.林さんは県道わきにはえているコマツナギは,刈り取られてしまうので,自分の水田の土手に移植されました.
 なんと300本近くも.
 今年になって移植したコマツナギにミヤマシジミが定着していました.林さんにはミヤマシジミ研究会に入ってもらって,秋の総会には報告してもらいたいものです.
移植されたコマツナギ約300本
2017年6月26日定着が確認されたミヤマシジミ♂
この林さんの保全活動は,中日新聞にも報道されました.
 中日環境ネットの下記のURLでご覧になれます.
 http://eco.chunichi.co.jp/news/2017/06/004035.html

中日環境ネット
(中村寛志)